さて、オバサン猿人だが食料になる銀河がいくらでもあるだろうに、なにをすき好んでアンドロメダや天の川に来るのかまったくわからない。とにかく、やって来るからにはおとなしくエサになる気は毛頭ないので戦うまでだ。

その作戦はというと、私の部下4人が乗る戦闘機は昔、昔の奇跡の駆逐艦「雪風」にちなんで「ゆきかぜ」と呼んでいるが、戦闘機が私の乗るのを含めて5機、その他に小型戦闘機プシー2102000機、ミニカー36000機、それにダミーの戦艦3隻とで訓練を積んできた。ダミーの戦艦はあまりに旧式なので、あまり役に立たず、はっきりいえば矢面(やおもて)に立つ役目を担ってもらう。もちろん乗組員はすべてロボットだ。本番では、これらのメンバーで陽動作戦を決行するのだ。

戦場は、オバサン猿人の進行する場所にある、大小数千万の岩が存在する場所が選ばれた。名前すらない極小惑星群だが仮にエリアAとでも名付けておこう。 実際の戦場はトリトンにほど近いバイアス小惑星群となるだろうと予想されている。我々の陽動作戦も敵をそちらへ誘導するのも重要な目的の一つだ。

そのエリアAに小型戦闘機、ミニ戦闘機全機をワープ走行で送っておき、後から本隊が行く算段だ。よくSF小説などで、ワープ何とかと言って、あっという間に何100万光年先まで瞬間移動できることが書いてあるが、まんざら(うそ)ではないものの、あれには制限ガある。ワープ走行は直径1200m以下でないと適用できないのだ。

戦艦はもちろん無理だが戦闘機はギリギリ通過できるといったところだ。幸い、小型戦闘機ゼロ戦はB−29の翼をもいで、太っちょにしたほどの大きさなので、苦も無くワープできる。

ダミーの戦艦3隻に詰めるだけのさまざまな武器を積み込み早めに戦場に向かって待機し、特攻をやってもらう。無人にしているので、細かいことはできないが、とにかく、7000万km先のオバサン艦隊に対してめくらめっぽう打ちまくり進行方向をこちらにむけさせるのが任務なのだ。

我々本隊がエリアAに到着して1時間もしないうちに、超広範囲に展開していたミニカー3万機が6機の敵偵察衛星を打ち落したが、攻撃を早めないと敵の衛星が集まりだすのは必至(ひっし)で、こちらの作戦がバレてしまう可能性が出てきた。そこで、3機の戦闘機用に径8キロを超える大岩石を適当に見つけ、早々と攻撃態勢に入った。ゼロ戦2000機は広範囲に展開して戦艦が退却したときに、向かってくるであろうアメーバの追跡を阻止する役だ。

7000万kmの距離で攻撃するのを、9000万kmに接近したとき、ダミーの戦艦3隻が敵母艦36隻のうち3隻に照準を合わせ、約3分間全砲門を開き、超タキロン・ヤマト弾、長距離Π(ぱい)レーザー20M等を集中攻撃。打ち終わると、一目散に反転退却したが、旋回中に、1分もしないうちに消されてしまった。例の真空砲を食らったに違いない。旧式戦艦は現役戦艦よりやや小さいが、それでも戦闘機の5倍程度の大きさはある。長さは1.5km弱だが幅がワープぎりぎりの1000m、厚さも600mだが復雑な形なのでいかにも戦艦というスタイルで強そうである。そんな大きな戦艦をあっという間に消すというのは恐怖を通り越し

10

前のページ                             次のページ