立ててくるし、へたをするとヤマト・バルカン砲は無力化する恐れがある。そこで、まず敵のシールドを破壊するためにヤマト弾の中味をメガトン級の核の代わりに、塩水、砂糖水はじめ劇薬、毒薬問わずあらゆる物質を3万発にそれぞれ装填し、径3kmほどのシールドに一瞬のうちに打ち込む戦法だ。そして、映像記録でその効果を分析するというもので、戦うわけではない。例えばコールタールがシールドを弱体化するということがわかれば、ミニ戦闘機プシー210(愛称はミニカー)にコールタールを満載し、敵母艦1隻当たり、10万機以上を突っ込ませれば、10%しか到着しなくても、ほぼシールドを弱体化できるのではというものだ。

 ミニカーは無人ではあるが、ロボットが一体入って操縦する。超高性能なスパコンが入っているので、ある程度複雑な状況も自分で判断して敵に突進する。敵のシールドはこちらのシールドとはまるで違うのでデータもなくその効果は実戦で試す以外にない。シルバーボールからオバサン猿人に関するデータを得ようと必死に数10万の科学者が探しているが、現在のところ、もう3年にもなるのに、全く得られていない。

ここで、准将の肩書が()かせる。つまり、戦闘機Χ(キー)335の機長は中尉が大半だが、准将が機長ということで、その護衛を兼ねて小型戦闘機1000余機を指揮下に入れることが認められた。さらに、ミニ戦闘機オメガ1088を2万余機、対アメーバ用としてあたえられた。

 あだ名はミニカーだが、20世紀のゼロ戦ほどの大きさで型もグラマンよりも太め気味で形だけの小さな翼がついている、あだ名のとおりのかわいい感じの兵器だ。

 

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 さて、話は変わるが、先の大戦といってもわずか10分程度で終了したのだが、ほぼ8年後、人類が最も恐れていたことが現実となってきた。なんと、敵母船36隻の大軍団で戦艦(例のアメーバ状の物体)の推定数4万隻がアンドロメダに向かいつつあるというのだ。

 先の大戦ではわずか8隻の母艦に戦艦アメーバが1000隻くらいだったのがアメーバに関しては一挙に40倍の軍勢らしい。アメーバ側の主力武器は10を超えるが、そのうち最も恐ろしいのはわれわれの「ゆきかぜ」が食らった例のチカチカと光ったら2か所の操縦席に穴のあいた真空砲だ。たまたま補助の重力装置がやられただけで戦闘力に支障がなかったが、真空砲を2発も食らってその程度だったのは、ほとんど奇跡的なことだった事らしい。しかしそのことがわかったのはずっと後になってからだ。

アンドロメダよりさらに約50億光年かなたにあり、シルバーボールからでも約30億年も離れたまだ名前もついてない小さな島宇宙から発進したらしく、ミード星人の情報では、この島宇宙はオバサン猿人の主要根拠地の一つらしい。

 彼らの進行速度からすると、3カ月ほどでアンドロメダに到着する可能性があると報告。言うまでもないことだが、昔は50億光年と言えば、電波で通信すれば、50億年かかったが、現在3766年では通信用ロボットのタキロン型P式倍力装置、ひらたくいえば、超スパコン  の人工脳波でやりとりする。それでも50億光年の距離では数日かかる

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