将もいささか戸惑ったが、アムステルダム大学教授、フノーシャー博士発明の性欲抑制剤を常用していたおかげでなんとか冷静になれたのは幸いだった。

 他のラインもベルトコンベアをぶち壊して、放り込むところまでは同じだったが、指揮をとっていた2人のパイロットはギリシャ彫刻の真似をするところまでは行かなかった。

 そんなこんなで、ギリシャ彫刻さながらの機長が操縦席に戻った時、ゴメス大尉が驚いたのはいうまでもない。

「 どうされました。」とゴメス大尉。

「どうもこうもない、ガス用のゴミがなくなっちゃってね。」と近くにあった薄手のジャンバーを腰に巻いて操縦席にすわる。

「大気層はうまくいきましたか。」

「うん、そのはずだが。ミニカーで生き残りのアメーバを処理しよう。ガス体を包囲するように、全機発進命令を!」

「了解、ミニカー全機発進!ガス体周辺に散開。出てくるアメーバを完全破壊せよ!」と言いながら、ボタンをトントントンと押す。同時に、

「ラインハルト機、ミニカー全機発進を!アメーバを完全破壊せよ!」と僚機に告げる。

がらくたプラス、ヒデキ&クララ嬢の制服プラス下着が加味された大気層が出来上がり、その場から3000kmほど離れたところで小型戦闘機ミニカー2000機弱が旋回しながら待機、そのさらに4000kmほど離れた場所で5機の戦闘機(キー)335が静止状態で、出てくるであろうアメーバを待ち受けた。要は火だるまになったであろう敵戦艦アメーバを2重、3重で破壊する作戦だ。

 准将の戦闘機「ゆきかぜ」はゴメス副機長に指揮をゆだね、准将は5機の総指揮をとる事になったが、その前にギリシャ彫刻のスタイルを制服スタイルにするため更衣室に入る。ものの2分で操縦室にかえると、操縦室のスクリーンにはポツリ、ポツリと赤みを帯びたおいしそうな形の巨大なアメーバがナンの形になったり、ブタ(まん)の形になったりで色んなスタイルで出てきていた。さしものアメーバも5003000kmの大気層でダメージを受け、すでに戦闘力は失せていた。

すかさず、2メガトンの核爆弾でもあるミニカーが体当たり。あえなく、木端(こっぱ)微塵(みじん)となり、大気層の仲間入りなる。それでも、たまに出てくる、薄いピンク色のアメーバは1機のミニカーでは破壊できないときは2機、3機とミニカーが体当たり。こちらの戦艦をはるかに上回る戦闘力を持つアメーバも閻魔(えんま)様のお世話になってしまう。

 2メガトンもの核爆弾が50km先で爆発すれば、相当な衝撃波を受けるはずだが、シールドのおかげでほとんど衝撃はない。最前線のミニカーでさえ、小なりと言え、シールドで保護されているので、近くで僚機が突っ込んで爆発しても、大きく飛ばされはするが、すぐ、元の飛行にもどれるほどだ。

 こうして、待つこと10分。大気層に突っ込んだアメーバは脱出を試みようとした時は、時すでに遅く、機体の操縦はできずに次々と大気層の仲間入りをして、後続のアメーバを

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