焼き尽くす手助けをすることになった。500機ほどは気化してしまったが、何とか大気層を抜け出たら、ミニカーの体当たりと踏んだり蹴ったりだ。それでも脇に逃げ大気層を早めに脱出したアメーバは5機の戦闘機の総数25門の主砲のイオ・レーザー砲を受けバラバラになったところを、さらに副砲の広角砲を受けてバラバラの上にさらにバラバラにされ完全に大気の仲間入りをする羽目に。バラバラ プラス バラバラになったアメーバは40機ほどで、そのころにはこちらのイオン・レーダーに何も映らなくなっていた。遠く、2000万km先でこの光景を見ているであろう敵母艦の指令室は次々に消えていく味方の戦艦の阿鼻叫喚(あびきょうかん)を聞いて(我々の常識で考えると、多分、アメーバから発せられているはずだ)深追いは避けたのかびくとも動かず、30分ほどその場にいたが、本隊に合流するためか、やがてレーダーの視界から消えた。

 この時、敵母艦が向かってきたらとても合戦にはならなかっただろう。ほとんど2000隻のアメーバとの戦いで戦力は使い切り、そもそも、この陽動作戦は敵母艦と戦うことは念頭にはなかったのだからね。逃げの一手の作戦だったのだから。

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こんな具合で陽動作戦は大成功に終わった。ヒデキ准将の指揮が良かったというよりも、運が運を呼んだとしか言えないまさに奇跡の連続だったと言えよう。こちらの損害は、小型戦闘機2000機、ミニ戦闘機32000余機だが、人的損害はゼロだ。ひるがえって、オバサン側はこちらの戦艦を上回る戦闘能力を持つアメーバ、推定2000隻を殲滅(せんめつ)されたのだから、大敗である。

しかし、目的が成功したかどうかは敵母艦にぶちこんだ3万種の判別の結果しだいだ。話は前後するが、ヒデキ准将が更衣室に行っている時、准将に変わってゴメス少尉が指揮を執っていたが、クララ嬢どこで見つけたかボロ布をコーランでいうところの隠しどころをちゃんと隠して、つまり腰にまいて現れたものだから、アメーバ退治の戦況をスクリーンで見ていたゴメス君驚いて、しばし、戦況ではなくクララ准尉を見つめていたが、ハッと我に帰り「准尉、そりゃ、ちとまずい。すぐ着かえてきなさい。」

「でも、戦況は?」

「大勝利だよ。安心して、着がえなさい。」

「承知しました。」と更衣室に行く。

 決死隊ともいえるヒデキ准将の戦況の記録が2カ月後に迫った大決戦の戦略に重大な影響を及ぼすことになった。陽動作戦の最大の戦果は、キラキラボールのシールドはアルコール42%の芋焼酎と96%のウォッカに弱いことがわかったことである。この2か所がブチ当たったところだけが、シールドが白濁して目だったため、シールドが複雑な回転をして

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