ってすぐに、輸送船をはじめとしてあらゆる種類の宇宙で移動できる交通手段の船舶はバイアス小惑星帯をはじめとして、トリトンを中心として直径320万kmの球形の表面のどこから侵入しても、20万kmの距離から攻撃できるように約6000か所に人工の岩石帯をつくることに全力を費やしたのだ。

 作業そのものは簡単で、例えば1000万kmの距離のところに糸川(いとかわ)タイプの600mほどの岩石があれば、戦闘機がチョイと押せば後は慣性で時速100万kmはすぐ出せるので、10時間後に目的の岩石帯のところで受け止めればいいのだ。幸いトリトンの周囲は小惑星や岩石が多いので材料にはことかかない。なにしろ、戦艦や戦闘機も参加して、数千万機の作業となった。戦闘ではなく簡単な作業なので人員は100分の1以下として、ロボットまかせだ。その他、アンドロメダ全域から星改造用の超大型ロボット数10万体も参加して作業は順調に進んだ。そうは言え、やはりバイアス小惑星帯になんとしても引き込みたい。

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 そうして、大決戦の時がきた。全軍を9個の軍に分けたのに伴い、少将の部下も9隊に分かれ、それぞれの軍団の指揮下に入る。戦艦、戦闘機で主だった部下はラインハルト大尉以下すべて全9軍に均等に配属され、1番槍の役をやることになった。1番槍部隊は戦艦1隻、戦闘機10機、小型戦闘機2万機、ミニ戦闘機20万機がそれぞれあてられ、装備もアルコール充填弾で武装?されている。とにかくこれでシールドに傷をつけ、あとは本隊が総力をあげ、傷ついたシールドめがけて1点集中の攻撃をかける戦法だ。

 と、する予定だったが、3日前の立方形隊形のシールドに対しては正攻法では全く歯が立たないのは特攻隊の犠牲(ぎせい)でわかっていたが、その他のことはこの隊形がどのような意味を持つのかほとんどわからないので、大きな変更を余儀なくされた。

 最初はヒデキ少将が所属する第9軍はサイコロの真ん中に位置する旗艦と思しき、母艦を攻撃する名誉を得ていたが、サイコロのシールドは前面よりも一番後ろのほうが弱いだろうとの、少将の直感で第7軍の1番槍の隊と交代した。

連合軍の総大将である権藤大将は1番槍の隊長全員を集め、「この戦いは、まさに人類の存亡がかかっており、1番槍の諸君は特段に重要な使命を帯びていることを自覚し、なにがなんでも、シールドを打ち破ることを強く、切望する。」との、激励があり、その後、とくにヒデキ少将が呼ばれた。

「この大戦は君の戦いにかかっている。外側シールドが破れなければ勝ち目はない。いるだけの軍を出すのでなんとしても打ち破ってもらいたい。」と総大将。

「外側のシールドはあまりにも広範囲なので意外と弱いと思います。ですが、念には念を入れ、いまの3倍の戦力を配備していただければ、申し分ないでしょう。」

「分かった。装備はどうする。」

「余っているヤマト(てっ)甲弾(こうだん)を可能な限りまわしてください。」

との話し合いで、予備軍として、母船の防衛の役を(にな)っていた戦艦2隻、戦闘機40機、小型戦闘機(ゼロ戦)4万機、ミニカー40万機をもらい、開戦10秒前の時間に敵の最後部の

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