は、つぎつぎと真空砲その他で消え去る味方の特攻機に心底、神の到来を祈ったのだ。

それでも数%が突入を果たしたのか50kmの球体が徐々に割れ始め、数秒で一挙に大爆発、様々な大きさの破片がそれこそ無数に飛び散った。大きなものは5kmを超えた。

と、ここまでは大本営発表のように調子が良かった。また、アメーバは遥か前方で待機している小型戦闘機μ(みゅー)、約40万機、ミニ戦闘機ω(おめが)1055,270万機が応戦するので、戦艦や戦闘機までやってくるのはせいぜい数%、つまり数100機ほどだ。それもほとんどが例のタール弾(ウラル産の石炭から作られたものと新合金ネトロンとの混合物)を浴びているので、ドーナッツ弾を23発あびせると簡単に分解。もはや、再生しなくて宇宙のチリとなる、

しかし、このような戦場は敵艦隊の中心の第9母艦と戦った第9軍および最後尾の敵第7母艦と会戦した第7軍のみで、あとは、クララ中尉担当(1番槍部隊の副官)の第3軍、

コーサンビー大尉担当の第6軍が善戦しているだけで、第2軍、第4軍、第5軍は苦戦、

8軍は大苦戦で、マルルコーニ大尉担当の第1軍は壊滅状態に陥っている報が会戦10分ほどで、全軍に伝えられた。

 ものの3分ほどで、敵第7母艦を粉砕した、ナラダッタ大将旗下の第7軍は最初の作戦通り、第9軍の支援に向かうべく、一部は若干の移動をしたが、まだ大きな移動は伴わないまま、砲塔の角度を変えている時、総司令部から第18軍より支援要請あり、との報に

9軍の支援を中止し、一番遠方である第1軍支援に向かう。一部は、破壊された敵母艦の多くの残骸(ざんがい)は爆発で同僚の第1母艦を追いかける形になったので、その陰に隠れながら、敵第1母艦を追跡。特に味方第7軍のゼロ戦30万機強、ミニカー200万機弱が敵第1母艦の後方に殺到。これには、完勝を確信していた敵母艦もびっくり仰天下したに違いない。

 かけつけたゼロ戦、ミニカーは旋回するアメーバを次々と捕食、破壊。前方にばかり集中していた武器の大半を後方の防御にまわしたときには、すでに自慢の暗紫色のきらめく金属パネルは10万機を超えるゼロ戦、100万機を超えるミニカーが、マルルコーニたちが何とか傷つけたシールド目がけて突進に次ぐ突進してきていた。ために、悠々(ゆうゆう)と回転していたギラギラボールもついにゆっくりと停止した。

 ここで、第1軍の残存の母船5隻が全身を現し、ちょうど破れたシールドが母船の方に向いたのを幸いに、全艦副砲250門から、残りのヤマト (てっ)(こう)弾20万発弱を弔い合戦の恨みを込めて発射、次いで同じ箇所めがけて、主砲250門から長距離レーザーを、副砲250門から中距離Π(ぴー)レーザーを、同じく副砲500門から短距離レーザーを、要は全武力をやぶれシールドへ集中したものだから、50kmを誇るギラギラボールをレーザーが突き抜け、反撃もまったくしなくなった。

 こうなると、自爆の恐れが出てくるので、急遽、ゼロ戦とミニカーは敵第1母艦から、離れ始めたが、時すでに遅く、ものすごい閃光とともに自爆、宇宙のもくずとなる。そのため支援にかけつけた第7軍はゼロ戦とミニカーの大半を失ってしまった。

 母船、戦艦、戦闘機は数千km〜数万kmの位置から攻撃しているものが大半なので、

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