被害は少なかったが、それでも、戦闘機は100機近くがあおりを食って、破壊または戦闘不能におちいった。ほとんど無傷の第7軍としては大きな人的被害だったといえる。

 こうして、敵の立法体隊形は先頭、中心、後方が伽藍(がらん)(どう)になり、風通しの良い陣形となったがそのまま、敵母艦は陣形を変えずトリトンを目ざして行く。その間、大苦戦が伝えられていた、第8軍にはラインハルトの第9軍が支援に向かい、余裕のナラダッタ、ヒデキのコンビの第7軍は総司令部の指示で苦戦の第4軍の支援に向かう。

 その間、苦戦の第245軍の援軍要請を受け、総司令部の防衛および支援用の戦艦2隻、ゼロ戦10万機、ミニカー30万機の援軍をそれぞれの軍に向け発進。善戦中のクララの第3軍、コーサンビーの第6軍にもダメ押しのゼロ戦5万機、ミニカー10万機を送ったため、総司令部の母船防衛は戦艦4隻、戦闘機100機弱、ゼロ戦5万機弱、ミニカー50万機足らずとなった。もともと総司令部の防衛用及び前線支援用の部隊はほとんどが退役将兵と義勇兵からなり、実戦はいささか不安があったが、なにしろ兵員不足もいいところなので贅沢は言ってはいられなかった。

 このような戦況で多分20分も経過したのだろうか、全体の状況がほぼ見えてきた。戦場は秒速200km弱で移動しながらの戦いなので、すでに20万km以上トリトンに近づいていることになる。あと、20分もすると、バイアス小惑星帯から外れるが、そうなると、俄然不利になるので、それまでには何としてもケリをつけたいところだ。善戦中のクララの第3軍、コーサンビーの第6軍は支援のゼロ戦、ミニカーを得て、一気にうるさいアメーバを殲滅(せんめつ)

3軍では丸裸になった敵母艦をこちらの母船30余隻が岩石の陰から身を大きく乗り出し残余のヤマト(てっ)(こう)弾を一点集中したため、さしものギラギラボールも回転を停止。その間、ほんの30秒間の交戦で、味方の母船3隻が完全破壊され、18隻は大破、戦闘不能となる。いかに巨大岩石が生命線になっていたかがわかる。それでも残りの全母船が決死の覚悟で、穴のあいた、敵母艦に、ドーナッツ弾、ヤマト弾、長、中、短距離用レーザー、イオ、プロトン、それに通常レーザー要するに、打てるものはすべてブチ込んだ。

ギラギラボールの抵抗はやみ、自爆を避けて、支援に来たゼロ戦、ミニカーは敵母艦から、急速に退避。ギラギラボールは自爆し大きな残骸が飛び散る。どういうわけか閃光を伴わない爆発だった。

善戦との報告があった第3軍でこの状態だ。約30万余名の将兵が露と消え、負傷者も5万名近くは出たと思われる。死者に比べ負傷者が少ないのは、宇宙戦争では真空中の戦いなので生か死かのどちらかとなり、死者に比べると負傷者はかなり少ない。母船は負傷者の収容、治療も大きな任務の一つだが、せいぜい1隻当たり、500名ほどがいい所。ミード軍の後方の医療援助があったにしても、3000隻で、せいぜい20万人の収容がやっと。第3軍だけの重傷者だけでかなり埋まってしまった。

同じく善戦を伝えられたコーサンビー担当の第6軍は別の意味で記録しておく価値があるだろう。詳細は避けるが、援軍の力を借りて、敵母艦がいよいよ爆発崩壊という段にな

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